LEE DORSEY / The New Lee Dorsey
LP (Amy 8011)
Producer: Allen Toussaint
60年代のニューオーリンズR&Bシーンを代表するシンガーといえば、ミスターTNTの異名をとった、このリー・ドーシーとなるだろう。
ユーモラスでありながら、どこか哀愁を感じさせる声で数々のヒット曲を放ったドーシー、その影にはソングライター、アレンジャーとして並々ならぬ手腕をふるったアラン・トゥーサンという存在があったわけだが、何にせよ、このドーシーの声はニューオーリンズの宝だ。
本アルバムは、兵役から復帰した後の、60年代中・後期を過ごしたエイミーからの代表的アルバム。
65年の復帰後第1作目のダンス・ナンバーB(1)(R&Bチャート7位)、翌66年のA(1)(6)(共にチャート5位)、B(3)(10位)といったヒット/代表曲をどんと収めた1枚。
A(2)では、レイ・チャールズの影響を感じさせるが、A(4)、B(2)など、朴訥とした中にもペーソスを感じさせるミディアム・ナンバーが、ドーシーの真骨頂となる。
多くの曲でコーラスも聴かせるアラン・トゥーサンが中心となったバック・サウンドも遊び心一杯で楽しい。
ドーシーのノヴェルティ・タッチの歌と一心同体だ。
また、A(1)のシンコぺぶりなど、既にセカンド・ライン・ファンクの萌芽を感じとることが出来る。
尚、独ラインから同タイトルでリイシューされたLPは本LPとは内容が多少異なり、A(2)(3)(6)、B(1)は入ってないので御注意を。
▶Some More from this Artist
さて、86年に肺ガンの為惜しくも亡くなってしまったドーシー、残したアルバムはそれほど多くないが、それぞれの質は全て高く、また、その時々のニューオーリンズの音を見事に反映したものである。
他のアルバムを挙げておこう。
- “Ya! Ya!” (Fury 1002)
- “Yes We Can” (Polydor 24-4042)
- “Night People” (ABC 1048)
①は、60年代初頭のフューリー時代のアルバムだが、61年にR&Bチャート1位に輝いたタイトル曲を始め、ノヴェルティ・ナンバーの嵐だ。
現在は、フューリー録音全16曲中15曲が収められた『ヤー!ヤー!』(Pヴァイン PCD-2174)がある。
②は、クレジットこそないが、ミーターズが全面的にバック・アップしたと思われるアルバムで、ニューオーリンズ・ファンクの神髄ともいえる。
粘り腰サウンドにドーシーの歌が見事に絡んだ傑作アルバム。
駄曲なしの名盤だが、ポインター・シスターズによる「イエス・ウィ・キャン・キャン」他、多くのカヴァーを生んだ1枚でもある。
③は78年のアルバムで、やはりアラン・トゥーサンのプロデュースによるものながら、ぐっと洗練されたソウル風サウンド。
ドーシーは全く衰えず、得意のリズム・ナンバーだけでなく、素晴しい暖か味を見せるバラードに年輪を感じさせてくれる。
この②③は廃盤だが、その内一部は”The Greatest Googa Mooga” (Charly 3)で聴くことが出来る。
これは40曲入りの2枚組CDで、フューリー~エイミーの代表的ナンバーを集めたもの。
初期のノヴェルティものから、セカンド・ライン・ファンクに乗ったものまで、現在は最も内容が濃く、また便利なものとしてお薦め出来るリイシューCDだ。
転載:U.S. Black Disk Guide©小出斉
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