amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.93

音楽

ARTHUR CONLEY / Sweet Soul Music

LP (Atco 33-215)

Producer: Otis Redding, Rick Hall

【A】(1) Sweet Soul Music (2) Take Me (Just As I Am) (3) Who’s Foolin’ Who (4) There’s A Place For Us (5) I Can’t Stop (No, No, No) 【B】(1) Wholesale Love (2) I’m A Lonely Stranger (3) I’m Gonna Forget About You (4) Let Nothing Separate Us (5) Where You Lead Me

アーサー・コンリーは、オーティス・レディングによって見出されたアトランタ出身のサザン・ソウル・シンガー。

サム・クック・リヴューに参加していたこともあるくらいで、サムの影響も感じられるが、同時にいかにも南部らしい土臭さを持ったシンガーで、このあたりがオーティスの目に止まった理由だろう。

オーティスのレーベル、ジョティスを経てアトコに移り、67年の「スウィート・ソウル・ミュージック」の大ヒットで一躍スターの座についている。

が、70年代に入りサザン・ソウルの斜陽化とともにレコーディングの機会も減り、シンガーとしての実力が衰えないうちに消えていった。

80年代に、リー・ロバーツ名義でオランダで吹込んだライヴ盤が出回ったこともあるが、その後噂も聞かない。

ここに挙げたのは、67年発売のデビュー盤。

やはり彼のアルバムのなかでは最も充実感のあるものと言える。

最高の聴きものはスタックス録音のA(3)(4)、B(2)(5)で、どれも力作揃いで感心してしまう。

ジャンプのA(3)、B(5)は重厚な作りで印象に残るし、スローのA(4)、B(2)でのアーサーの素直な感情表現にも光るものがある。

当時のアーサーがまだ20歳前だったことを考えると、この個性溢れる歌いぶりは驚異としか言い様がない。

また大ヒットしたA(1)ももちろん抜群で、ここでのノリの良さはアーサーならではだ。

これとB(1)(4)は、T.N.T.トリプルやモーゼス・ディラードらがバックを付けたもののようだが、なかなか締まりのあるバッキング・サウンドで、大いに満足できる。

なおA(1)はサム・クックの「ヤー・マン」から取られたものである。

これらの録音は、オーティスによってプロデュースされている。

残るA(2)(5)、B(3)はマスル・ショールズ録音で、リック・ホールの制作である。

もちろん悪くはないものの、ハッキリ言って、先の2種の録音よりは聴き劣りする。

総合して、彼の非凡な才能がきらめいている、優れたサザン・ソウル・アルバムだと思う。

▶Some More from this Artist

  1. “Shake, Rattle & Roll”
  2. “Soul Directions”
  3. “More Sweet Soul”
  4. 『ワン・モア・スウィート・ソウル・ミュージック』

67年の①はアーサーの2枚目のアルバムで、フェイム・スタジオで録音されている。

ここでは1枚めのような濃密さは求められず、平均的なアルバムになっている。

有名なバラードを取り上げたのも、かえってアーサーの若さが浮き彫りになる結果となっている。

68年の②はオーティスの死後、トム・ダウドによってプロデュースされたアルバムで、アメリカン・スタジオ録音を主体としたものである。

初期に比べリズムが軽くなってしまったのは残念だが、ボビー・ウォマックのサポートもあって、出来は良い。

推薦盤だ。

69年の③はマスル・ショールズとアメリカン・スタジオで録音されたものだが、アーサーのなかで一番出来の悪いアルバムだ。

選曲が悪いのも致命的。

④は70年代のキャプリコーン録音を集めたミニ・アルバムで、スワンプ・ドッグの制作した作品集だ。

ややモダンなサウンドをバックに、アーサーの持ち味が発揮された好盤だ。

転載:U.S. Black Disk Guide©石黒恵

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