TOWER OF POWER / Back To Oakland
LP (Warner Bros. BS-2749)
Producer: James Anthony Carmichael
オークランドを拠点とする白人黒人混合バンド、タワー・オブ・パワー。
J.B.、スライ等のファンク、スタックスやモータウン、ポップ・ソウル・ジャズを消化したサウンド、黒人ソウル・シンガー、レニー・ウイリアムスの起用からも分かる通り、黒っぽい要素を全面に押し出したグループである。
もっとも、彼らが立つ文化的基盤、音楽的コンセプトを思えば、ファンク/ソウルとしての評価はしかねるのも事実だが、それよりここはベイ・エリアならではの雰囲気、ミックスチュア感覚を持ったダンス・バンド、と捉えるのが正解だ。
売り物は、迫力一杯のホーン・セクション、ソリッドなリズムを提供するデヴィッド・ガリバルディのドラム、そして見事なバンドのアンサンブル。
その魅力がたっぷり味わえるのが74年発表の本作。
このアルバムでは、当時新たな動きを見せていたスライやコーネル・デュプリー等のポップなファンク/ジャズの感覚を取り込み、随所に洗練を窺わせるが、勿論、本来持っていた力感は失うことなく」、いい意味でのバランスのとれた完成度に優れた現代性を示す。
また、黒人、中国系、チカノ系、肌の色の異なる人々が入り混じったオークランドという街が持つ生命力、アーシーな匂いも、タワーの音楽のポイントとなることも忘れられない。
▶Some More from this Artist
- “East Bay Grease”
- “Bump City”
- “Tower Of Power”
- “Urban Renewal”
- “In The Slot”
- “Live And In Living Color”
- “Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now”
- “We Came To Play”
- “Back On The Streets”
- “Power”
①はフィルモアで知られるビル・グレアムのレーベルから出されたもので、未だ磨れぬ荒い感触が明日への可能性を窺わす、
②は、バンドの方向性も定まり、印象的な曲が生まれている。
リック・スティーヴンスの若干古めのR&Bヴォーカルも案外味がある。
③からはレニー・ウイリアムスを始めとする重要メンバーが加入。
リズム&ブラスと称されるタワーのスタイルが確立される。
力強いビート感に貫かれたタイトなホーンが抜群だ。
レニーのヴォーカルも含めて、全て一体化したアンサンブルにタワーの力量が見て取れる。
尚、このアルバムにて最強の布陣が揃う。
⑤は、名ドラマー、ガリバルディの一時脱退が残念だが、上掲のアルバムの路線を受け継ぎ、更に練られた仕上がりを見せる。
曲作りの秀逸なセンスも相変わらず。
⑥では、レニーに変わって、よりゴスペル感覚の強いヒューバート・タブスが加入。
ストレートなソウル色が濃くなっている分、タワーとしての個性が損なわれている観もなくはない。
ソウル・ファンには聴き易いとも言える。
⑦は熱っぽい乗り、スタジオ作と変わらぬ完成度に彼らの実力を再確認させられるライヴ。
CBS移籍後は、徐々にパワーも薄れ、既にその輝きは過去のものとなっている。
転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則
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