youtube musicでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.160

音楽

RUFUS THOMAS / Do The Funky Chicken

LP (Stax STS-2028)

Producer: Al Bell, Tom Nixon, Al Jackson

【A】(1) Funky Chicken (2) Let The Good Times Roll (3) Sixty Minute Man (4) Lookin’ For A Love (5) Bearcat 【B】(1) Old McDonald Had A Farm (Part I) (2) Old McDonald Had A Farm (Part II) (3) Rufus Rastus Johnson Brown (4) Soul Food (5) Turn Your Damper Down (6) The Preacher And The Bear

50年代からメンフィスで活動し、60~70年代にも数々のノヴェルティ・ダンス・ヒットを飛ばした、”世界一歳をとったティーン・ネイジャー”ルーファス・トーマス。

メンフィスのソウル・シーンでは、少々毛色の変わった存在だったことは確かだ。

1917年生まれと世代的にも古く、メディシン・ショウなども経験したトーマスは、自ら言う様に単なるシンガーではなく、アクター、ダンサー、コメディアンといった要素をあわせた、総合的なエンターテイナーと捉えるのが、一番わかり易い。

歌手としての体質は古く、70年代に次々とファンキーなダンス・ナンバーをヒットさせたが、それも古いブルースやノヴェルティ・ソングの感覚をメンフィス・ソウル/ファンキー・サウンドで蘇らせたものだった。

70年発表の本アルバムは、トーマスが70年代にノヴェルティなダンス・ヒットを飛ばすきっかけとなった、ヒット曲A(1)をフィーチャーしたもの。

ルイ・ジョーダンのA(2)やドミノズのA(3)も実にファンキーなアレンジ。

特に7分にも及ぶ後者は聴き物だ。

2パートに分かれたB(1)(2)も、ゴスペル仕立ての(1)、ダンス・テンポの(2)と趣向をこらしている。

全体に、理屈抜きで楽しめる1枚だ。

▶Some More from this Artist

トーマスは49年か50年にレコード・デビュー、51~53年にサンに録音。

中でも「ベア・キャット」はサン・レーベルの最初のヒット曲となった(先のA(5)はその再演)。

その時代の曲は『ウォーキン・ザ・ベア・キャット』(Pヴァイン PLP-322)でまとめて聴けるが、ストレートなブルースから、コミカルなダンスものまで、そのルーツがズバリとわかる。

63年のヒット「ザ・ドッグ」以降のアルバムを以下に。

  1. “Walkin’ The Dog”
  2. “May I Have The Ticket Please”
  3. “Doing The Push & Pull At PJ’S”
  4. “Did You Hear Me”
  5. “Crown Prince Of Dance”

63年の①は、カヴァー曲も多いダンス・アルバム。

スタックス初期ならば、スロー・ブルースも含むリイシュー”Jump Back” (Edsel 134 [英])が、本質を捉えた好LPだ。

③は70年のライヴ盤。

観客とのやりとりも見事で、エンターテイナーの本領発揮だ。

ダンス物からブルースまで。

④は各2パートずつからなる「プッシュ&プル」「ファンキー・ペンギン」「ブレイクダウン」といった、70年代初期のファンキーなダンス・ヒットがぎっしり。

73年の⑤は、④ほど派手にヒット曲が詰まってないが、好ブルージー・バラードもあり、充分楽しめる内容だ。

⑥”If There Were No Music”

⑦”I Ain’t Gettin’ Older, I’m Gettin’ Better”

⑧”That Woman Is Poison!”

⑥⑦は77,78年のディスコ全盛時のものだが、⑥ではメンフィス・ソウルの意地のようなものもみせた。

ブルースもしっかりやっている。

⑦はファンキーなダンス物で固めたが、10分以上のタイトル曲が圧巻。

60歳を過ぎての⑧(88年)も、まだまだ元気なところを見せているが、ブルースが多目になっていて、なかなかに味わい深い。

転載:U.S. Black Disk Guide©小出斉

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