RAY PAKER Jr. AND RAYDIO / A Woman Needs Love
LP (Arista AI-9543)
Producer: Ray Parker Jr.
どこか一本調子で、淡白なグルーヴ・テイスト。
聴く者の感情の起伏を機械的にコントロールするかのような偽善的メロディ・ライン。
このようなポイントを指摘しつつ、彼のスタイルにネガティブな姿勢をとるソウル・ファンは意外と多い。
これは、単に個々の嗜好の問題だからその“ネガティヴな姿勢”に対して意見するのはお門違いかもしれない。
でも、彼のスタイルが本当に肌に合わないものなのかどうか、是非ともこの機会に今一度確かめてみてほしいと思っている。
デトロイト育ちのレイ・パーカーが、レイディオとして正式デビューを飾る以前にホット・ワックス / インヴィクタスのセッションやスティーヴィ・ワンダーのバック・バンド、ワンダー・ラヴに参加、非凡なギター・プレイを披露してくれていたのは比較的有名な話。
その後、ジーン・ペイジと接触したことでカリフォルニアに新天地を求めた彼はギタリストとしての活動に磨きをかけながら、ソング・ライターとしても頭角を現すようになる。
ルーファスの「ユー・ガット・ザ・ラヴ」やハービー・ハンコックの「キープ・オン・ドゥーイン・イット」がこの時代の代表作。
レイディオの結成は77年。
メンバー構成はレイを中心にチャールズ・フィアリング(g)、アーネル・カーマイケル(kbd)、ラリー・トルバート(ds)、ヴィンセント・バンハムにジェリー・ナイト(後にA&Mからソロ・デビューを果たすナイス・シンガー)を加えた6名。
翌78年にアリスタでセルフ・タイトルの処女作を発表、「ジャック&ジル」の大ヒットを放ち、スターダムにのっしあがっている。
レイディオ名義は2枚目までで、3,4枚目はレイ・パーカーjr & レイディオ、5枚目以降はレイ・パーカーjrのソロ名義となっている。
当該作は通算4枚目。
レイを取り巻くメンバーは2名(アーネル&ラリー)に絞りこまれた。
また、デビュー時よりサポート・スタッフとして寄り添っているオリー・E.ブラウンは、レイが若かりし頃に組んでいたトリオ、オール・シティ・バンドでの同僚である(もう1人のメンバーがネイサン・ワッツ)。
レイの魅力が集約されているのがA(1)のタイトル・トラック。
究極の酒脱味ともいえそうだ。
確かに上手いヴォーカルではないが、全体に漂う優美なムードとの整合感をここまで与えてくれるのだからそんなことを気にするのはつまらないと思う。
A(3)、B(2)が同系で文句ない。
A(2)、B(1)(3)は容赦なく真黒なファンクで、評判高いのも充分理解できる完璧な仕上がりだ。
▶Some More from this Artist
- Raydio (同 4163) 78年
- Rock On (同 4212) 79年
- Two Places At The Same Time (同 9515) 80年
- A Woman Needs Love (同 9543) 81年 ≪上掲≫
- The Other Woman (同 9590) 82年
- Woman Out Of Control (同 8087) 83年
- Sex And The Single Man (同 8280) 85年
- After Dark (Geffen 24124) 87年
ベストを除いた。
「ゴーストバスターズ」の大ヒットは85年。
念のため。
①②はダンサーが秀逸。
③は④に匹敵する内容を誇る。
⑤はスロー~ミディアムが充実。
⑧はカシーフとのコラボレートによる傑作「ザ・パスト」を収録。
転載:U.S. Black Disk Guide©細田日出男
say-G’z 補足
1991年に”I Love You Like You Are”を発表。
2006年に”I’m Free!”を発表している。
「ゴーストバスターズ」「バッド・ボーイ」はオリジナルアルバムには未収録でベスト盤のみ収録。
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