LP (Columbia CS-9321)
Producer: Bob Jhonston, Robert Mersey, Clyde Otis
”ソウル・シスター”と書かれたロゴに、手を広げて口を大きく開き、絶唱するジャケット写真。
ほとんどアトランティック時代と間違えてしまいそうだが、これが66年という時点におけるアレサの姿だった。
アレサはアトランティックに入って初めて”ソウル・シスター”とか”レデイ・ソウル”と呼ばれるようになったと思われている方も多いかもしれないが、60年代中期に彼女は後の姿を準備していたのだ。
とはいえ、コロンビア時代にこれといったビッグ・ヒットはない。
コロンビア時代のアレサはほとんどジャズ/ポップ・シンガーだったというのも、半分は当たっている。
そんな中で、”ソウル・シンガー”を自覚的にも打ち出した最良のアルバムがこれだといっていいだろう。
取り上げられている曲も興味深く、A(1)はガーネット・ミムズやベティ・エヴェレットでおなじみのディープ・バラードだ。
音的に物足りないところもあるが、歌い方はその両者を凌駕しているほど。
さらにA(5)、ゴスペル・バラード的なA(6)、カッコいいB(1)、アーマ・トーマスとは同名異曲だがB(3)、アトランティック時代のジャンプ・ナンバーにつながるB(4)、ヒット曲B(5)とゆるみないアレサの世界が続いていく。
▶Some More from this Artist
アレサは、既に15歳の時にレコーディングを経験している。
これがデトロイトにあったJVBに吹込まれたゴスペルで、この時代の作品は後に”Songs Of Faith” (Checker 10019)というLPにまとめられている。
クララ・ワードを目標としていたという彼女の純朴さに心が打たれはするが、歌としてはまだ稚拙さは否めないといった内容だ。
この時代の作品は、父親のC.L.フランクリンの作品と合わせ、日本発売(PLP-841/842)されたことがある。
69年にコロンビアに入社してからは、一気にレイ・チャールズやサム・クックなみのスターにと行きたいところだったが、その道のりは平坦ではなかった。
- “Aretha” (Columbia 1612)
- “The Electrifying Aretha Franklin” (同 1761)
- “The Tender, The Moving, The Swinging Aretha Franklin” (同 1876)
- “Laughing On The Outside” (同 2079)
- “Unforgettable – A Tribute To Dinah Washington” (同 2163)
- “Runnin’ Out Of Fools” (同 2281)
- “Yeah!!!” (同 2351)
以上の7枚に先の『ソウル・シスター』の8枚が在籍中に出されたLPだった。
上記の番号はモノ番号で、6800をたすとステレオ番号となる。
コロンビア退社後、アレサは大スターになったので、次々とLPが出され(ハーモニーはその廉価版)、それは20数枚に及ぶ。
では、先のオリジナル盤だけ集めればいいかというと、そうともいい切れない。
ぼくも全部耳を通しているわけではないが、③④⑦あたりはジャズ/ポップLPに近いようだ。
⑤は彼女の敬愛するダイナ・ワシントンに捧げたLPで、「イーヴル・ギャル・ブルース」の解釈がすごい。
そうしたブルージーな曲を集めたものとして”Today I Sing The Blues” (同 40105)をすすめたい。
また、『ジャズ・トゥ・ソウル』(SRCS-6646~7)という決定的2枚組もある。
転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志
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