トータル・エクスペリエンス時代に、今をときめくアダラ・ゼイン・ジャイルズがメンバーに加わっていたということで話題を呼んだグループだが、彼等の本領が発揮されていたのは5枚のアルバムを残したモータウン(ゴーディ)在籍時だ。
スウィッチの魅力は、何と言ってもボビー・デバージとフィリップ・イングラムのデュアル・ヴォーカルによる小気味良さ、これに尽きる。
5枚のアルバムは何れも一定の品質を携えているが、内容的に最も均整のとれているのはこのデビュー作。
まずソウル・チャートの6位まで上昇した情緒たっぷりのスロー・バラードA(2)が素晴らしい。
デリケートなファルセット・リードはボビー。
マイケル&ブレンダ・サットン作のB(3)になると今度はフィリップの一人舞台だ。
そして綿密なバック・コーラスを従えて、2人がスリリングな掛け合いを演じるのがA(1)(3)。
この味わいこそが彼等の真骨頂である。
ファンク・ナンバーも快調で、A(4)、B(4)では、粘り強い、うねるグルーヴを披露。
オハイオ出身の彼等のこと、これ位の振舞いはできて当然か。
転載:U.S. Black Disk Guide©細田日出男
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