MARIE “QUEENIE” LYONS / Soul Fever
LP (Deluxe DLP-12001)
Producer: H. Neely, D. Harrison
恐らくかなりのサザン・ソウル・ファンでも手の届かない(手を出さない?)アルバムの1枚だろう。
音は上出来とはいえないし、揃えられている曲ももう一工夫ほしい気がする。
シングル盤だけしか出していないシンガーには、もっとすごいのがいるさと言われればそれまでだ。
だが、こうした無名のシンガーでもLPを出せたところに、60年代末の南部の勢いというものが感じられもするわけだ。
今南部と書いたが、実際はオハイオが彼女の本拠地だったらしい。
それでも、生まれはルイジアナということで、南部ならではのフィーリングが聞けるのが嬉しい。
思い切りほめてしまえば、キャンディ・ステイトンの先駆者ということになる。
67年頃 “A Minute Of His Goodtime” (Sims 104) というゴスペル・バラードを出していることで知られているが、その頃からJ.B.がアイドルだったという変わり者で、確かに彼を女にしたようなパンチ力がある。
マキシン・ブラウンのB(3)など曲がいいこともあるが、泣けるし、B(6)、ブルージーなA(1)やA(3)もまあいける。
転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志
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