youtube musicでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.140

音楽

THE ISLEY BROTHERS / The Heat It On

【A】(1) Fight The Power (2) The Heat Is On (3) Hope You Feel Better Love 【B】(1) For The Love Of You (2) Sensuality (3) Make Me Say It Again Girl

ゴスペル・グループとして出発し、ドゥー・ワップ、R&B時代を経てファンク・グループへと結実したアイズレー・ブラザーズ。

常に流行の音に敏感に反応し、時代の華を感じさせる自らのオリジナリティを獲得してきたこと、加えてゴスペルやR&Bといった強固な基盤を決して見失うことのない姿勢こそ、彼らの偉大さの証明となる。

50年代から現在までの長いキャリアにおいて、最も重要な時代と言えば、独創的なスタイルを確立すると共に、メジャーで確固たる地位を占めるに到った70年代ということになる。

とりわけ刺激的な熱気をはらむのが、ポジティブなメッセージと、強烈なファンク・ビートで現在のヒップ・ホップ・シーンにも少なからず影響を与えている大ヒット「ファイト・ザ・パワー」をフィーチャーしたこのアルバム。

シンプルに繰り返される粘着性リズムと爆発力と抑制を心得たゴスペル感覚充分のヴォーカルが黒いグルーヴを展開するA(1)(2)にアイズレーの真髄はある。

見事に現代性を備えたR&Bヴォーカルに加えて、70年代アイズレー・サウンドの立役者となった、ジミ・ヘン直系のアーニー・アイズレーの奔放なギター、都会的な洗練を配合するクリス・ジャスパーのキーボードの貢献も評価すべきであろう。

ロッキッシュなアタックもここでは全てファンクへと結実する。

また、ファンク・グループのもう一つの使命とも言うべきスウィート・ムードの醸成という点に関しても際立った個性を見せるアイズレー。

重量級ファンクで乗せるA面に対し、全てスロー・バラードで決めたB面では、ロナルドのファルセットが演出するセンシュアルな空間に、生々しいブラックネスがしたたる。

▶Some More from this Artist

  1. “It’s Our Thing” (T-Neck 3001)
  2. “The Brothers: Isley” (同 3002)
  3. “Live At Yankee Stadium” (同 3004-2)
  4. “Get Into Something” (同 3006)
  5. “In The Beginning” (同 3007)
  6. “Givin’ It Back” (同 3008)
  7. “Brother, Brother, Brother” (同 3009)
  8. “The Isleys Live” (同 3010)
  9. “Isley’s Greatest Hits” (同 3011)
  10. “3+3” (同 32453)
  11. “Live It Up” (同 33070)
  12. “The Heat Is On” (同 33536)
  13. “Go For Your Guns” (同 34432)
  14. “Forever Gold” (同 34452)
  15. “Showdown” (同 34930)
  16. “Timeless” (同 35650)
  17. “Winner Takes All” (同 36077)
  18. “Go All The Way” (同 36305)
  19. “Grand Slam” (同 37080)
  20. “Inside You” (同 37533)
  21. “The Real Deal” (同 38047)
  22. “Between The Sheets” (同 38674)
  23. “Greatest hits” (同 39240)
  24. “Masterpiece” (WB 25347)
  25. “Smooth Sailin'” (同 25586)
  26. “Spend The Night” (同 25940)

新たなアイズレーの誕生となったゴスペル・ファンク・ナンバー「イッツ・ユア・シング」を含む①は、同時にディープなR&Bバラードにも聴き所を持つ傑作。

続く②でも、ソリッドに決めたファンクと共に、サム・クック・フレーズを駆使したバラードが秀逸。

このあたり、まだR&Bグループ的色彩をかなり残しているが、④ではファンクに比重が増し、後に通じるダイナミックスが明確になる。

これも①と同じく、この時期のアイズレー特有のゴツゴツしたハードな感触が味わえる好アルバムだ。

⑤はジミ・ヘンがギターで参加している60年代中頃の作品を集めた物。

他人の作品を多く取り上げた⑥⑦は方向性に迷いが見え低調。

尚、③(アイズレーはA面のみ)⑧では、70年代初期の肉体感に溢れるパワフルなアイズレーのステージがダイレクトに捉えられている。

73年、オーケリー、ルドルフ、ロナルドの3人のヴォーカル陣に、アーニー、マーヴィン、クリスが正式に加入し6人編成となる。

ロック的要素も加味したモダンな音とR&B臭が絶妙なバランスを見せるアイズレー・ファンクがここで確立される。

⑩⑪⑫がこの頃の高いヴォルテージを誇る作品だ。

以降、若干メロウな⑬、ブラック・ロック的な⑭、タイトな完成度を持つ⑮と、徐々に時代に即した変化を企てる。

⑰~㉑は、メタリックな中にもポップな洗練を取り込み、都会的ニュアンスが増すが、当然ストリートの熱い息遣いは変わらず。

84年、バックの3人が独立し、3人のヴォーカル陣でバラード中心の㉒㉓を発表。

特に㉒は傑作スウィート・ソウル・アルバム。

オーケリー亡き後出された㉔は、ヴォーカルの味、キャッチーな曲調が活かされた大ヒット作。

ロナルドがアンジェラ・ウィンブッシュと組んだ㉖も、最新の音に昔ながらのヴォーカルが馴染む、優れたアルバムだ。

転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則


say-G’z 補足

amazon musicでは何故か登録されてなく聴けないが、youtube musicでは聴けるのでリンク先はyoutube musicとなっています。

リスト抜けで12.の後に”Harvest For The World” (T-Neck 33809) が出されている。

以降のアルバムは

27. “Tracks Of Life”

28. “Mission To Please”

29. “Eternal”

30. “Body Kiss”

31. “Baby Makin’ Music”

32. “I’ll Be Home For Christmas”

33. “Power Of Peace”


say-G’z的アルバム解説

やっぱり良いアルバムだと思う。 

①Fight The Power 本当にパワーが漲る曲調。僕は歌詞にはあまり興味がない人間なのですが、歌詞の評価が高くて、社会的メッセージを持った政治的な曲で、社会の不正や権力者に対する反乱を表現しているらしく、やはりメッセージ性を持つ曲を作るエネルギーが大量に注ぎ込まれているんじゃないかと思う。

②The Heat Is On 1曲目よりはテンポを落とし、さらに重心を低くした感じ。

③Hope You Feel Better Love ギターリフから始まる曲。これですよ、これ。3+3以降のアイズレー節。ギターソロ等ロック的要素が強いけど、これが3+3以降のアイズレー。

④For The Love Of You このアルバムでは一番有名な曲でしょう。 メロウ。ひたすらメロウ。曲単体で聴くよりも、③~④に曲調が移る感覚っていうのもアルバムとして聴くと感動するものがある。

⑤Sensuality どことなくジャジーな雰囲気のスロー。ロナルドのサビの部分がなければ、アイズレーっぽくはない。

⑥Make Me Say It Again Girl これもメロウ。優しさに包まれるような曲調。

以上全6曲、絶対に貴方が気に入る曲があると思うこのアルバム。マストですよ。


サブスクじゃ嫌っていう方はこちら↓


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