BARBARA LYNN / You’ll Lose A Good Thing
LP (Jamie JLP70-3023)
Producer: Huey P. Meaux
名曲「ユール・ルーズ・ア・グッド・シング」をもつバーバラ・リンも、絶対に忘れえぬ彼女ならではのスタイルを築いた名レデイ・ソウル。
独特の悲しみ一杯のハスキー・ヴォイスと印象的な左ききのギター!
それが62年のヒューイ・モー・プロデュースによるニューオーリンズのコズィモ・スタジオ録音に始まり最新のイチバン盤に至るまでの30年弱のレコーディングのすべてに聞けるのだから、このガイドで半ページのスペースを割りあてているのも当然というところ。
▶Some More from this Artist
- “The Barbara Lynn Story” (Sue 949)
- “Barbara Lynn” (Good Thing 001)
- “Here Is” (Atlantic 8171)
- 『エレガント・ソウル』 (ワーナー 8624)
- 『ウィ・ガット・ア・グッド・シング・ゴーイング』 (デッド・ボール 2-2506)
- “You Don’t Have To Go” (Ichiban 1024)
42年テキサスはボーモントの生れ。
代表作はといえばどうしてもこのデビュー・アルバムか?
言わずもがなのB(1)を筆頭に、ニューオーリンズやスワンプの香りがほのかにただようA(1)(2)、B(6)といったミディアム、そして本当にこれこそがティア・ジャーカーといえるA(4)や(2)など、彼女の魅力が満載。
そしてこのジェイミー時代のアルバム未収録シングルは後に①や②としてリリースされ、入手困難で知られる①では未発表の「ジェラス・ラヴ」やバラードの名作「エブリバディ・ラヴズ・サムバディ」等が、88年リイシューの②ではちょっとブルージーな曲が人気を博した。
しかしまだこのジェイミーには「ローラズ・ウェディング」等の泣かせることうけあいのシングル等がリイシューを待っている状態。
この後彼女はヒューイ・モーのレーベル、トライブから4枚のシングルを発表。
一部が②に、一部がヴァージョン違いや未発表曲も含めて”The Hit-Kickers” (Festival 1012~1039)という3枚組10セット計30枚というヒューイの作品のオムニバス・アルバムに収録されている(ベストは8集に入っているカジノスのカヴァー「ゼン・ユー・キャン・テル・ミー・グッドバイ」)。
続いてやはりヒューイ絡みのジェット・ストリーム、コピー・ライト、スターフライトといったマイナーを経て、67年から73年にはアトランティックに録音、それが③と日本盤のみのベティ・スワンと片面ずつのシングル・コレクションの④。
時代を反映してサザン・ソウル・サウンドに作られてはいるもののバーバラは実に変らない。
特に④の冒頭の2曲(マスル・ショールズ録音)の素晴しさは言うことがない。
この後、彼女は少くともレコードの上ではわずか1~2枚のシングルを出すのみであったが、活動の場をロスに移した80年代初頭、彼女のまだ気合い充分なライヴを見た日本人の好意的なレポートが契機となって再び注目が集り84年の日本公演、⑤の2枚組ライヴ・アルバムのリリースとなった。
出来はもちろんフレンドリー&ナイス。
テキサスのマイナー、ジャム・ストーン盤7インチがイギリスでも小ヒットしたりでついに88年アメリカでは実に20年ぶりのアルバムをリリース。
ブルースがやや多めなものの、いつも通りのバーバラ節のスロー等評判は悪くなかった。
転載:U.S. Black Disk Guide©高沢仁
コメント