LP (Columbia FC-38959)
Producer: Michael Stokes
見すごされがちだがこれは仲々の実力派のデトロイト5人組。
全部で6枚のアルバムをリリースしているがどれもその時代の主流の音を取り入れてかなりの内容、果たして初期のアルバムの方が代表作か?あるいは80年代に入ってからの「新しい音」のアルバムの方がいいのか、これはかなり意見の分れるところだろう。
まず、このアルバムを挙げておく。
- “Enchantment” (UA 682) 76年
- “Once Upon A Dream” (Roadshow 811) 77年
- “Journey To The Land Of…Enchantment” (同 1-3269) 79年
- “Soft Lights, Sweet Music” (RCA 1-3824) 80年
- “Enchanted Lady” (Columbia 38024) 82年
- “Utopia” (同 38959) 83年 ≪上掲≫
デビューは75年の”Deliver Us From Evil” (Polydor 6055)というサントラ・アルバムで歌われた「コール・オン・ミー」という曲。
マイク(マイケル)・ストークスのプロデュースに、アレンジがポール・ライザーとジミー・ローチという黄金のデトロイト制作陣によって作られた、エマニュエル・ジョンソンのハイ・テナー~ファルセットを中心にタイトにからむハーモニーが素適なグレイト・ミディアム・ナンバーで、このシングルを探しているファンも多いと聞く。
続いてデザート・ムーンというレーベルから「カム・オン&ライド」のシングルがリリースされ、その小ヒット(76年7月にチャート・イン)でついにメジャーのユナイテッド・アーティスツからデビューLP①を出すことになる。
その①の出来は上々で、シングルよりハイハットの音を強調して迫力を増した「ホールド・オン」や、エマニュエルのエモーショナルなハイ・テナー~ファルセットが美しいバラードの「グロリア」「マイ・ローズ」「サンシャイン」、そして気持ち良いミディアム「サンキュー・ガール・フォー・ラヴィング・ミー」と続く。
②でも「イッツ・ユー・ザット・アイ・ニード」というスロー、「サニー・シャイン・フィーリング」というミディアム等①をしのぐかという良い曲も多く、多少レゲエ調になるなどのマイナス面はあるものの①と甲乙つけがたい出来。
79年の③はほぼ同様の音作りだが、全体的にやや密度の薄い感じがする。
数曲あるムーディなバラードも水準以上だが、僕は「エニウェイ・ユー・ウォント・イット」というハーモニーがクルクルまわるようなミディアムが一番好き。
ドン・デイヴィス制作の④も1曲1曲はすべて水準より上だが、あまり強烈な印象が残らなかったアルバム。
いままでと毛色は違うが「アイ・キャント・フェイク・イット」のR&B臭さがおもしろかった。
80年に入って彼等はコロンビアへ移籍。
その幕開け、⑤のタイトル曲のバラードの素晴らしいこと!
テンポのあるものもニューヨークのモダンなバックにハリキったコーラスがビシビシ決まり気持ち良いことこの上ない。
この路線は83年の⑥でも同様、いやますます好調か?
マイケル・ストークスのしっかりしたバックにパワフルなジャンプのA(1)(2)、B(4)、エマニュエルのハイ・テナーが優しくセクシーに歌うバラードのB(1)(5)、共にスゴク良い。
こうしてみると僕の軍配はどうやら後期の方のものに上りそうだが、もちろん「グロリア」の頃も魅力充分だ。
転載:U.S. Black Disk Guide©高沢仁
say-G’z 補足
全6アルバム、Amazon musicで聞けます!
「コール・オン・ミー」は①のボーナストラックにて収録。
1985年の12インチ・シングル”Feel Like Dancin'”は打ち込みがキツイけど、聞いてみたい方は Rare Preludes Volume 5 に収録。
1991年にはゴスペルになってシングル”Reflections Of The Man Inside / Funny”をリリース。
エマニュエルはその後、E.J. Johnsonと改名してゴスペル路線でソロアルバム2枚リリースしています。
- “Totally With Me” 1999年
- “Universal Praise” 2004年
おまけとして、2014年に「Valentine」という曲を配信しています。
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