THE IMPRESSIONS / People Get Ready
LP (ABC 505)
Producer: Johnny Pate
基盤となるゴスペルへの深い敬愛とストリートへの熱い思い。
力強い信念に裏付けられた、常にスピリチュアルな響きを感じさせるグループである。
深い祈りをイメージさせる気高く美しいカーティス・メイフィールドのリード・ヴォーカル、清々しいバック・コーラス。
カーティス流ゴスペルB(1)が温く包み込んでくれる、インプレッションズ65年の名作。
カーティスのヴォーカルの艶、コンビネイションの妙、都会的装飾で表情を際立たせるジョニー・ペイトのアレンジ、全てカーティス作となる曲の魅力。
様々な要素が結びついてソウルフルなヴァイブレイションを放つ。
ここでは、永遠の名曲B(1)に加え、アーシーな感覚を隠さぬシカゴ・ミディアムA(1)、カーティスのファルセット気味の切ないハイ・テナーが情感漂わすバラードB(2)(3)が彼らの真骨頂。
瑞々しいA(5)、B(4)も素晴らしい。
また、躍動感のあるリズム、隠し味となるカーティスのギターにも注目を。
ローカル・ソウル・グループのみならず、Pファンク、ボブ・マーリーにまで及ぶ影響力。
シンプルな言葉で語られるメッセージの純度に、いかにモダンになろうと、ストリートに発する熱気とモノ・トーンのシカゴ色を決して失うことのないカーティス&インプレッションズの魅力を見て取れる。
▶Some More from this Artist
- “For Your Precious Love…” (Vee Jay 1075)
- “The Impressions” (ABC 450)
- “The Never Ending Impressions” (同 468)
- “Keep On Pushing” (同 493)
- “People Get Ready” (同 505)
- “One By One” (同 523)
- “Ridin’ High” (同 545)
- “The Fabulous Impressions” (同 606)
- “We’re A Winner” (同 635)
- “The Versatile Impressions” (同 668)
- “This Is My Country” (Curtom 8001)
- “The Young Mods’ Forgotten Story” (同 8003)
- “Best Impressions” (同 8004)
- “Check Out Your Mind!” (同 8006)
ドゥー・ワップ期(58~59年録音)の①に関してはNo.21を参照。
5人編成時の録音を含む②も、「ジプシー・ウーマン」他、ヒット曲、名曲が多数聴ける必携盤。
③は代表作「アイム・ソー・プラウド」を含むが、アルバムとしては中途半端。
それより、カーティスのヴォーカルが円熟味を増し、シカゴ・ソウルとしてのスタイルが確立、濃厚な雰囲気を醸し出す④⑦が高い質を誇る。
一方、⑥⑩ではスタンダード・ナンバーを手掛けているが平凡な出来に終わっている。
69年にR&Bチャート1位を記録した「ウィー・アー・ウィナー」を含む⑨では、黒人意識を前に出した音楽性、メッセージが芽ばえ始める。
それを更に発展させた⑪⑫⑬では、かつての粋なR&Bセンスは薄れ、徐々に加わったファンキーな感覚が新たな時代へのアピールとなる。
シカゴ風のラフな感触は悪くないが、未だ方向模索中。
やがてこの試みはカーティスのソロにおいて実を結ぶことになる。
転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則
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