amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.31

音楽

THE IMPRESSIONS / People Get Ready

LP (ABC 505)

Producer: Johnny Pate

[A] (1) Woman’s Got Soul (2) Emotions (3) Sometimes I Wonder (4) We’re In Love (5) Just Another Dance (6) Can’t Work No Longer [B] (1) People Get Ready (2) I’ve Found That I’ve Lost (3) Hard To Believe (4) See The Real Me (5) Get Up And Move (6) You Must Believe Me

基盤となるゴスペルへの深い敬愛とストリートへの熱い思い。

力強い信念に裏付けられた、常にスピリチュアルな響きを感じさせるグループである。

深い祈りをイメージさせる気高く美しいカーティス・メイフィールドのリード・ヴォーカル、清々しいバック・コーラス。

カーティス流ゴスペルB(1)が温く包み込んでくれる、インプレッションズ65年の名作。

カーティスのヴォーカルの艶、コンビネイションの妙、都会的装飾で表情を際立たせるジョニー・ペイトのアレンジ、全てカーティス作となる曲の魅力。

様々な要素が結びついてソウルフルなヴァイブレイションを放つ。

ここでは、永遠の名曲B(1)に加え、アーシーな感覚を隠さぬシカゴ・ミディアムA(1)、カーティスのファルセット気味の切ないハイ・テナーが情感漂わすバラードB(2)(3)が彼らの真骨頂。

瑞々しいA(5)、B(4)も素晴らしい。

また、躍動感のあるリズム、隠し味となるカーティスのギターにも注目を。

ローカル・ソウル・グループのみならず、Pファンク、ボブ・マーリーにまで及ぶ影響力。

シンプルな言葉で語られるメッセージの純度に、いかにモダンになろうと、ストリートに発する熱気とモノ・トーンのシカゴ色を決して失うことのないカーティス&インプレッションズの魅力を見て取れる。

▶Some More from this Artist

  1. “For Your Precious Love…” (Vee Jay 1075)
  2. “The Impressions” (ABC 450)
  3. “The Never Ending Impressions” (同 468)
  4. “Keep On Pushing” (同 493)
  5. “People Get Ready” (同 505)
  6. “One By One” (同 523)
  7. “Ridin’ High” (同 545)
  8. “The Fabulous Impressions” (同 606)
  9. “We’re A Winner” (同 635)
  10. “The Versatile Impressions” (同 668)
  11. “This Is My Country” (Curtom 8001)
  12. “The Young Mods’ Forgotten Story” (同 8003)
  13. “Best Impressions” (同 8004)
  14. “Check Out Your Mind!” (同 8006)

ドゥー・ワップ期(58~59年録音)の①に関してはNo.21を参照。

5人編成時の録音を含む②も、「ジプシー・ウーマン」他、ヒット曲、名曲が多数聴ける必携盤。

③は代表作「アイム・ソー・プラウド」を含むが、アルバムとしては中途半端。

それより、カーティスのヴォーカルが円熟味を増し、シカゴ・ソウルとしてのスタイルが確立、濃厚な雰囲気を醸し出す④⑦が高い質を誇る。

一方、⑥⑩ではスタンダード・ナンバーを手掛けているが平凡な出来に終わっている。

69年にR&Bチャート1位を記録した「ウィー・アー・ウィナー」を含む⑨では、黒人意識を前に出した音楽性、メッセージが芽ばえ始める。

それを更に発展させた⑪⑫⑬では、かつての粋なR&Bセンスは薄れ、徐々に加わったファンキーな感覚が新たな時代へのアピールとなる。

シカゴ風のラフな感触は悪くないが、未だ方向模索中。

やがてこの試みはカーティスのソロにおいて実を結ぶことになる。

転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則

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