LP (Aware AA-2008)
Producer: Floyd Smith
元キャラヴァンズのメンバーで、ゴスペルとかHOBといったレーベルにレコーディングを経験した後”Rainbow ’71” (Apach 2004, Galaxy780)というどディープなシングル(ジーン・チャンドラーのカヴァー)からソウルに転向、73年にはアトランタのアウェアと契約、ダンナのフロイド・スミスのプロデュースで”Loleatta” (Aware 2003)を出す。
長くシカゴで活躍していたフロイドの作るシカゴ風味のサザン・バックにまだ若く硬いがいかにもゴスペルあがりらしいフレイジングがファンの心をくすぐる。
聞きものは「アワ・ラヴァー」「パート・タイム・ラヴァー」「ソー・キャン・アイ」といったスロー・バラード。
これが2年後の本作となると、その硬さもとれ表現力が一段とアップし、自信にあふれるロリータを聞くことができるようになる。
それは冒頭のタイトル曲「クライ・トゥ・ミー」というサム・ディーズ作のバラードを聞くだけでもすぐ分る。
何という深いエモーション! B(2)を筆頭に、A(3)(5)、B(4)といったゴスペル・フレイヴァを残した少しカン高い声で歌われる他のバラードも説得力充分の素晴らしい出来だし、テンポのある曲でのノリの良さも抜群。
とにかく必聴作。
アウェアの倒産後、ロリータはサルソウル系のゴールド・マインドに移籍。
その路線も当時全盛だったグロリア・ゲイナーらにあやかってか、フィリー録音でもディスコ・タイプのものに変っていったが、その中に見せる彼女の本質的なディープさには変りはなかった。
▶Some More from this Artist
①”Loleatta” (Gold Mind 7500)
②”Queen Of The Night” (同 9501)
典型的なMFSBサウンドに乗って気持ち良さそうに歌う①の「ヒット・アンド・ラン」は今のダンス・ファンにも人気があるが、やはり光るのはフロイド・スミスがプロデュースした①の「ウォーン・アウト・ブロークン・ハート」とか、②で聞けるボビー・ウーマックのカヴァー「アイム・イン・ラヴ」やバニー・シグラーとデュエットしたバラード等だ。
③”Loleatta” (同 9504)
④”Love Sensation” (同 9506)
録音はシグマとマスル・ショールズ。
ダンス・テンポの曲も多いが、ボビー・ウーマックがプロデュースに参加した曲もあったりでそれぞれに聞きどころも多い。
③では何といっても「ゼアル・カム・ア・タイム」という切々たるバラード。
オリジナルのベティ・エヴェレットを超えている。
④では今でも人気高いダン・ハートマン(白人)の「ラヴ・センセーション」とオーティス・レディングのカヴァー。
シャウトというよりヒステリックなガナリも多くなってはいるが・・・・・。
この後ついに現在まで単独アルバムはだせず、82年にThe Salsoul Ochestra “Heat It Up” (Salsoul 8552)とかハートマンのアルバムで数曲ノリの良いダンス・ナンバーを披露したり、ストリートワイズ(ここのバラードは良かった)、ロッキー、ダニカ、DJインター、英サタディ等で12インチを出しているのみ。
しかし、90年春イギリスでヒットしたブラック・ボックスがロリータをサンプリングのネタに使い、再びその実力が注目されてきた。
90年初来日している。
転載:U.S. Black Disk Guide©高沢仁
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