LP (Motown 634)
Producer: Holland & Dozier
リーヴァイ・スタッブスを始めとする4人が、フォー・エイムスという名で初めてグループを組んだのが57年のこと。
それ以来全くのメンバー・チェンジもなく不動の4人組で歌い続けて今年で37年、変わることなきオーソドックスなヴォーカル・スタイルを思えば正しく稀有のグループである。
リーヴァイの熱気溢れるヴォーカル、わきまえを知る味わい深いバック・コーラス、躍動するデトロイト・ビート、麗しきポップ・フレイヴァーとキャッチーなリフを持つホーランド=ドジャー=ホーランドの曲。
これらが最高の輝きを持ってブレンドされたのが、モータウン全盛期に作られたこの作品。
ある意味でのモータウンのエッセンスがここにある。
ジャケ裏に、プロデューサー/ライター・チームのH=D=Hの写真があるが、当時のフォー・トップスは明らかにH=D=Hが自らの音楽性を託したグループであった。
エディ・ホーランドもリーヴァイ・スタッブスも、共にジャッキー・ウィルスン直系のシンガーであった事実も偶然ではあるまい。
何より、リーヴァイのヴォーカルとH=D=Hの曲が、互いに魅力を引き出すが如き素晴らしい関係をここでは展開する。
加えて、全編貫くミディアム・テンポを支える強力なモータウン・グルーヴの貢献も忘れられない。
モータウン・クラシックスとなる、65年にR&Bチャート1位を記録した、リーヴァイのダイナミックな歌いっぷりで乗せるA(1)、同じくモータウンならではの優れたポップ感覚が弾ける大ヒットA(5)。
これらに代表される、思わず胸が踊るソウルフルな熱さ、心に残るメロディの輝き、これこそフォー・トップスである。
▶Some More from this Artist
- “Breaking Through” (Workshop 217)
- “Four Tops” (Motown 662)
- “Second Album” (同 632)
- “Four Tops On Top” (同 647)
- “Four Tops Live” (同 654)
- “On Broadway” (同 657)
- “Reach Out” (同 660)
- “Yesterday’s Dreams” (同 669)
- “Four Tops Now!” (同 675)
- “Soul Spin” (同 695)
- “Still Waters Run Deep” (同 704)
- “Changing Times” (同 721)
- “Nature Planned It” (同 748)
- “Keeper Of The Castle” (ABC/Dunhill 50129)
- “Main Street People” (同 50114)
- “Meeting Of The Minds” (同 50166)
- “Live & In Concert” (同 50188)
- “Night Lights Harmony” (ABC 862)
- “Catfish” (同 968)
- “The Show Must Go On” (同 1014)
- “At The Top” (同 1092)
チェス、レッド・トップ、コロンビア等にシングルを残した後、63年にモータウン傘下のジャズ・レーベル、ワークショップと契約、ジャズ・ヴォーカル・アルバム①を発表している。
しかし、彼らの魅力が花開いたのはH=D=Hと組んだ64年以降のこと。
新たなフォー・トップスの誕生を告げる「ベイビー・アイ・ニード・ユア・ラヴィング」をフィーチャーした②は、早くもH=D=Hのマジックが効力を発揮、リーヴァイのジャッキー・ウィルスン、サム・クックをフォローした熱っぽいR&Bヴォーカルが映えるモータウン・マナーが貫徹された優れた作品となっている。
この路線は③での完成を経て④に受け継がれる。
「ラヴィング・ユー・イズ・スウィーター・ザン・エバー」「シェイク・ミー・ウェイク・ミー」といった名曲が聴けるが、その一方で、B面は全てスタンダードが占める。
スタンダード集の⑥と共に評価は難しい。
⑤は黒人ばかりのクラブで録られたと思われる臨場感溢れる楽しいライヴ。
⑦は曲によって出来不出来があるが、タイトル曲や「スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・ラヴ」といった大ヒットは最高の聴き物となる。
続く⑧⑨⑩はH=D=Hがモータウンを去ったことでプロデューサーが替わり、低調の観は否めないが、⑪⑫⑬でかなり持ち直す。
特に⑬はソリッドなデトロイト感覚が活かされた好アルバムである。
尚上記以外にモータウンにはシュプリームスとの共演アルバムを3枚残している。
72年にはABCへ移籍。
スティーヴ・バリ、デニス・ランバート、ブライアン・ポッターといった白人ポピュラー系のプロデューサーと組み⑭⑮⑯を発表するが、リーヴァイの力強いヴォーカルは健在で、曲によってはかなり聴かせてくれるものの、装飾の多いポピュラー化は彼らの魅力を引き出すには至っていない。
もっとも、⑯あたりはかなり練れてきて悪くないアルバムに仕上がっている。
それ以降は、⑱からメンバーのローレンス・ペイトンがプロデュースの加わり、⑲ではデトロイトで録音を行うが、さほど成果は上がらず。
復活は81年のカサブランカ録音まで待たねばならない。
転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則
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