amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.43

音楽

MARTHA AND VANDELLAS / Dance Party

LP (Gordy 915)

Producer: Eddie Holland, Lamont Dozier, Brian Holland

[A] (1) Dancing In The Street (2) Dancing Slow (3) Wild One (4) Nowhere To Run (5) Nobody’ll Care (6) There He Is (At My Door) [B] (1) Mobile Lil The Dancing Witch (2) Dance Party (3) Motoring (4) The Jerk (5) Mickey’s Monkey (6) Hitch Hike

モータウンのオフィスで秘書を努めていたマーサ・リーヴスが62年に仲間と共に結成したトリオで、ザ・マーヴェレッツ、シュプリームスと並ぶモータウンの3大ガール・グループのひとつ。

彼女だちにとって初レコーディングは、マーヴィン・ゲイの出世アルバム”That Stubborn Kinda’ Fellow” (63年)でのバック・コーラスだった。

同アルバムの裏ジャケットには、彼女たちの写真も載っている。

彼女たちの初の大ヒット曲「ヒートウェイヴ」(R&BチャートNo.1、ポップスNo.4/63年)は今も忘れ得ないが、同曲が収められている同タイトルのアルバムは、その曲以外は全て他人のヒット曲のカヴァー(ex.エンジェルスの「マイ・ボーイ・フレンズ・バック」)というお粗末な代物だった。

それに引き替え、カヴァー曲を含むものの、本アルバムの完成度は高い。

特に、荒削りと言ってさしつかえないM.リーヴスの向こう見ずなヴォーカルがアップ・テンポに良くマッチしたA(1)(4)は、無数に存在する”モータウン・クラシックス”に数え上げることが出来る。

時代が時代だけに(本アルバムがリリースされた前年、マーティン・ルーサー・キング,jr.牧師が先導する”ワシントン大行進”が行われた)、A(1)がブラック・ピープルを煽動して暴動が起こるのでは、と見なされ、当時アメリカのラジオ局ではエア・プレイを控えたという。

尚、同曲のコンポーザーはモータウン専属ライターだったウィリアム”ミッキー”スティーヴンソン(キム・ウエストンのもと夫)とマーヴィン・ゲイだが、マーヴィンは同曲でピアノ演奏も行っている。

A(4)はホーランド=ドジャー=ホーランドのペンに拠るもので、「ヒート・ウェイヴ」同様、典型的なH-D-Hサウンド。

A(4)のプロモーション・ヴィデオ(もちろんモノクロ)は当時デトロイトの自動車工場で撮影されたが、B(1),(3)は”デトロイト=モーター・シティ=モータウン”をPRするにはもってこいの楽曲である。

また、ミラクルズのカヴァーB(5)、バック・コーラスを担当した曲を今度は自分たちだけで歌ったマーヴィンのB(6)でも、威勢の良いM.リーヴスのヴォーカルを充分に堪能出来るという仕組み。

▶Some More from this Artist

  1. “Come And Get These Memories” (Gordy 902)
  2. “Heat Wave” (同 907)
  3. “Watchout!” (同 920)
  4. “Ridin’ High” (同 926)
  5. “Sugar ‘n’ Spice” (同 944)
  6. “Natural Resources” (同 952)
  7. “Black Magic” (同 958)

その他、グレイテスト・ヒッツやライヴ・アルバムもリリースされているが、本アルバムほどのクオリティは求め得ない。

70年にはメンバーがひとり入れ替わり、M.リーヴスがグループ存続に躍起だった様子が窺えるが、「ティア・イット・オン・ダウン」(72年)の小ヒットを最後にグループは敢なく解散、「アイム・レディ・フォー・ラヴ」(66年)、「ジミー・マック」(67年)など、今聴いても心が逸る名曲を残した彼女たちは、約10年でそのグループ生命を終えた。

転載:U.S. Black Disk Guide©泉山真奈美

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