amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.49

音楽

MARVIN GAYE / That Stubborn Kinda Fellow

LP (Tamla 239)

Producer: William Stevenson

[A] (1) Stubborn Kind Of Fellow (2) Pride & Joy (3) Hitch Hike (4) Get My Hands On Some Lovin’ (5) Wherever I Lay My Hat [B] (1) Soldier’s Plea (2) It Hurt Me Too (3) Taking My Time (4) Hello There Angel (5) I’m Yours, You’re Mine

肉感的エッセンスを染み込ませたソウル・グルーヴと心に宿すどこかブルーな陰影。

燃えるような情熱、心の痛みを知るデリケートな優しさを備えたマーヴィンにこそ、真の意味でのソウルマンとの形容は相応しい。

そんなマーヴィンのルーツとも言うべき若き日の熱唱をまとめた61年制作のアルバム。

未だアーシーな感触を残す力強いデトロイト・サウンドをバックに、野性味溢れる一途なヴォーカルを聴かせるマーヴィン。

熱っぽいジャンプ・ナンバーA(1)(3)、R&B臭濃厚なA(2)、モータウン流ポップ・センスを巧みに配したミディアム・ダンサーA(4)(5)、B(5)等、いずれも荒っぽいアーバン感覚に裏打ちされた素晴らしいノーザン・ソウルに仕上がっている。

加えて、こういったストレートな表現の中にも、独特のしなやかさやナイーヴな心の動きを感じさせるあたりが、マーヴィンならではの個性となる。

もっとも、ここでは何よりマーヴィンのR&B唱法、ヒットメイカーとしての色気、溌剌としたノーザン・ビートが最高であることは言うまでもない。

また、バックのマーサ&ザ・ヴァンデラスの黒っぽいコーラスの貢献も見逃せない。

▶Some More from this Artist

  1. “The Soulful Moods Of Marvin Gaye” (Tamla 221)
  2. “Recorded Live On Stage” (同 242)
  3. “Together” (Motown 613)
  4. “When I’m Alone I Cry” (Tamla 251)
  5. “How Sweet It Is To Be Loved By You” (同 258)
  6. “Hello Broadway” (同 259)
  7. “A Tribute To The Great Nat King Cole” (同 261)
  8. “Moods Of Marvin Gaye” (同 266)
  9. “Take Two” (同 270)
  10. “United” (同 277)
  11. “You’re All I Need” (同 284)
  12. “In The Groove” (同 285)
  13. “M.P.G.” (同 292)
  14. “Easy” (同 294)
  15. “That’s The Way Love Is” (同 299)

重要作となるのは⑤⑫。

モータウン・サウンドの充実。

ホーランド=ドジャー=ホーランドの名曲、ソウル的ふくらみを増したマーヴィンの表現力が結びついた⑤は、マーヴィンにとっては最もモータウン色がうまく反映された傑作。

「エイン・ザット・ペキュリアー」「アイル・ビー・ドッゴーン」を含む⑧も同じく質が高い。

一方、ノーマン・ホイットフィールドのプロデュースによる「悲しき噂」を含む⑫は、新たなスタイルへ向かう契機となったアルバム。

ファンク的抑制感覚とノーザン・ソウルの結合がスリリングである。

また、この時代で欠かせないのがデュオ・アルバム。

中では、スウィートな恋人ムードがポップなモータウン・サウンドに乗って優れたコンビネイションを見せる⑩⑪がベスト。

その他では初期の熱っぽいライヴが聴ける②も貴重だ。

①④⑥⑦とあるポピュラー・ヴォーカル・アルバムは、出来はともかく抜け切らぬR&B臭が自然とマーヴィンの色となるあたりは気に掛けたい。

転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則

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