amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.51

音楽

MARY WELLS / Sings My Guy

LP (Motown M-617)

Producer: William Stevenson, Smokey Robinson

[A] (1) He’s The One I Love (2) Whisper You Love Me Boy (3) My Guy (4) Does He Love Me (5) How?, When My Heart Belongs To You (6) He Holds His Own [B] (1) My Baby Just Cares For Me (2) I Only Have Eyes For You (3) You Do Something To Me (4) It Had To Be You (5) If You Love Me, Really Love Me (6) At Last

初期の「バイ・バイ・ベイビー」のヒット、そして64年のナンバー・ワン・ヒット「マイ・ガイ」、マーヴィン・ゲイとのデュエットと60年代に一世を風靡したメリー・ウェルズも、長く歌ってる割にはあまり注目されない一人だ。

64年に追われるようにモータウンを離れたこともその一因だろうが、やや息を抜き加減に歌うその唱法に、多くの人が中途半端なものを感じてきたことも事実だろう。

その唱法が目立つようになったのは、63年のナンバー・ワン・ヒット曲「トゥー・ラヴァーズ」あたりだろうが、それが完成を見たのが、彼女の最大ヒット曲A(3)だった。

ぼくなどには、R&Bのヒット曲とかモータウン・サウンド云々とか言う前に、当時のヒット曲としてなつかしい思いがこみあげてくるが、確かにモータウン・サウンドのいいところをいただいたティーンエイジ・ポップの名曲という感じがする。

この曲を除くと、このアルバムには典型的なモータウン・サウンドというのはあまり見当たらなく、A(2)が若干それを感じさせる程度。

フラミンゴスの有名なB(2)をいかにもモータウンらしい処理で聞かせたりしてはいるが、全体的にはやはり物足りなく、アルバムとしてはあまりすすめられないかもしれない。

それでも、A(1)とかA(4)のように、それなりに魅力的な曲があることはある。

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そんなわけで、アルバムが10数枚に及ぶ彼女を全部聞いているわけはないし、また全部聞く必要もないだろう。

デビューは60年と早く、まだレーベルとして危うかったモータウンのアクセルを踏み、そのレーベルを勢いづけるのに貢献したことは認めてよい。

その曲が「バイ・バイ・ベイビー」で、それをフィーチャーしたLP “Bye Bye Baby” (同 600)はモータウンの最初のものとなった。

この頃のメリーは基本的にガール・グループなどの流れにあるが、そのタイトル曲には普通の10代のシンガーでは作り得ない力強さがあった。

さらにそこに収録されている「レット・ユア・コンシエンス・ビー・ユア・ガイド」なども、良し悪しは別にして、ガール・グループでは考えられないほどゴスペルっぽい。

また、「バッド・ボーイ」や「プリーズ・フォーギヴ・ミー」あたりも聞かせる。

「バイ・バイ・ベイビー」から「ザ・ワン・フー・リアリー・ラヴズ・ユー」「ユー・ビート・ミー・トゥ・ザ・パンチ」と続く大ヒット曲は、確かにこの頃のメリーの代表作といえるもので、60年代初期の至らなさも含めて良い。

その後二者をフィーチャーして作られたのが、”The One Who Really Loves You” (同 605)で、歌手としてのメリーはこの辺までが一番魅力的といえるかもしれない。

その後には “Two Lovers” (同 607)、ライヴ盤 “On Stage” (同 611)、さらにマーヴィンとのデュエットLPがある。

65年以降は20世紀フォックス、アトコ、ジュビリーと移り、ビートルズの曲を歌った企画物を作ったりしているが、中でも比較的良いのが “Servin’ Up Some Soul” (Jubilee 8018)。

セシル・ウーマックと結婚したせいか、少しディープな作りだが、過大評価は禁物。

80年代のエピック盤、昔のヒット曲を再録したAllegiance盤はまるでダメだ。

転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志

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