LP (Arista AB-4257)
Producer: Skip Scarborough, David Crawford
ソウル・ファンには人気のないチャック・シズルであるが、いま聞くと地味な中にもきらりと光るものがある。
仲々の好アルバムである。
それもその筈、彼はブロードウェイやコマーシャルで8年活躍した後、このファースト・アルバムを出した訳で、下積みは十分と言えよう。
やや個性に欠ける嫌いもあるが、楽曲の良さも手伝って、そんなことは殆ど気にならない。
特にタイトル曲はナイーブなヴォーカルによくマッチした素晴らしいスローで、後半では力の入ったヴォーカルも聞かせてくれる。
他にも同タイプのスローは、A(3)、B(2)(3)とあるが、どれも彼の丁寧に歌う姿に好感の持てる出来。
A(5)は誰でも知っているオールディーズ・クラシックだが、甘くモダンに仕上げてあって、これも聞きもの。
ミディアムはA(2)(4)、B(1)(4)とあるが、ヒットしたB(1)を除いてはどれも明るく気持ち良く、ヴォーカルのノリも申し分ない。
とこのように良くできたアルバムだから、皆さんもっと聞いてください。
因にセカンド”If I Had Chance”(同 9581)のタイトル曲も秀逸なバラードなので、そちらもよろしく。
転載:U.S. Black Disk Guide©伊藤嘉高
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