amazon music unlimitedでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.87

音楽

EDDIE FLOYD / Knock On Wood

LP (Stax 714)

Producer: Eddie Floyd

【A】 (1) Knock On Wood (2) Something You Got (3) But It’s Alright (4) I Stand Accused (5) If You Gotta Make A Fool Of Somebody (6) I Don’t Want To Cry 【B】 (1) Raise Your Hand (2) Got To Make A Comeback (3) 634-5789 (4) I’ve Just Been Feeling Bad (5) High-Heel Sneakers (6) Warm And Tender Love

エディ・フロイドは37年にアラバマ州のモンゴメリーで生まれているが、すぐにデトロイトに移り、そこで55年にファルコンズを結成している。

66年からはソロ・シンガーとしてスタックスで活躍し、「ノック・オン・ウッド」のナンバー・ワン・ヒットで同レーベルの看板スターの一人になったわけである。

シンガーとしての実力は超一流とは言い難いが、作曲の才能とバックの良さに助けられ、スタックス初期には彼のシンガーとしての魅力が十二分に引き出されている。

これはエディの最初のアルバムで、大ヒットしたタイトル曲をフィーチャーした67年のアルバムである。

とにかくバックの音が実に決まっており、タイトル曲のヒットもこのバックがあればこそという感じだ。

もちろんエディ自身の歌にも軽量級の味わいがあり、初期スタックスを語る上でも忘れられないアルバムだ。

大半が他人のヒット曲で、エディのオリジナルがA(1)、B(1)(2)(4)とたった4曲なのが残念だが、これがこのままこのアルバムの聴きものとなっている。

ジャンプのA(1)、B(1)、スローのB(2)(4)とともに秀逸だ。

他人の曲のベストは、ジェリー・バトラーの優しさ溢れるバラードのA(4)か。

曲調がエディのソフトな表情にマッチしていて、良い仕上がりだ。

他の曲のオリジナルは、A(2)がクリス・ケナー、A(3)がJ.J.ジャクスン、A(5)がジェイムス・レイ、A(6)がチャック・ジャクスン、B(3)がウィルスン・ピケット、B(5)がトミー・タッカー、B(6)がパーシー・スレッジで、どれも平均以上の出来にはなっている。

▶Some More from this Artist

  1. “I’ve Never Found A Girl”
  2. “Rare Stamps”
  3. “You’ve Got To Have Eddie”
  4. “California Girl”
  5. “Down To Earth”
  6. “Baby Lay Your Head Down (Gently On My Bed)”
  7. “Soul Street”
  8. “Experience”
  9. “Try Me !”
  10. “Try Me !”

①は大ヒットしたタイトル曲を収録した69年頃のアルバムで、サウンドがややモダンになり重厚さがなくなったが、それもエディに関してはそう違和感はない。

エディの柔和な持ち味はよく出ていると思う。

②はベスト盤だが、半数の曲はこれでしか聴けないので持っていたいところ。

③④は69~70年のアルバムで、内容は①の延長線上にある。

悪くはないものの、徐々にポップ化され薄味になってしまったのは仕方ない。

72年頃の⑤はロック色を濃くしたアルバムでノー・グッド。

73年の⑥ではメンフィスを離れ、マスル・ショールズやウエスト・コーストで録音しているが、出来は平均的。

⑦は再びメンフィスに戻っての74年のアルバム。

スタックス後期ではまとまりのある1枚だ。

⑧はTKに移っての77年の作。

当然ディスコの影響が伺えるアルバムで、感心しない。

85年の⑨、ウィリアム・ベルのレーベルからの88年の⑩もともに冴えがなく、物足りない。

やはりエディはスタックス初期が一番、という月並みな結論になってしまった。

転載:U.S. Black Disk Guide©石黒恵

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