youtube musicでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.146

音楽

JAMES BROWN / Revolution Of The Mind

LP (Polydor PD-3003)

Producer: James Brown

【A】 (1) It’s A New Day So Let A Man Come In And Do The Popcorn (2) Bewildered (3) Sex Machine 【B】 (1) Escape-Ism (2) Make It Funky 【C)】 (1) Try Me (2) Fast Medley: (I Can’t Stand It, Mother Popcorn, I Got The Feelin’) (3) Give It Up Or Turnit A Loose (4) Call Me Super Bad (5) Get Up, Get Into It, Get Involved Pt. 1 【D】 (1) Get Up, Get Into It, Get Involved Pt. 2 (2) Soul Power (3) Hot Pants (She Got To Use What She Got To Get What She Wants)

68~70年におけるJ.B.のダンス・ビートに向けた執念は尋常ではない。

徐々に複雑な構成を試みる中での極度に過熱するヴォーカルと自由な発想を高めていくバックのサウンド。

この類稀なる実験的精神は、やがて、リズムのうねりを重視した、持続力のある強靭なグルーヴ=ファンクへと結実することになる。

当時のJ.B.の鬼気迫る凄さを捉えたアルバムとなれば、アポロでのライヴを収めた本作に尽きるだろう。

互いにせめぎ合うリズムの嵐の中を、60年代とは異なる太い乗りで駆け抜けるJ.B.。

スタジオ録音よりは速いテンポで処理しながらも、全編に感じさせるルーズな粘着性が圧倒的な肉体感を際立たせる。

J.B.のヴォーカル、リズム・セクション、ホーン・セクションが、以前に比較すると、更に表現の可能性を獲得する一方で、全て渾然一体となって乗りとイメージを展開させていくのである。

徹底してハードなA(1)、シンプルな組み立てから生み出される呪術的リズムに乗ってJ.B.とボビー・バードが熱っぽい掛け合いで燃え上がるA(3)、アーシーなファンク臭が漂うジャム風のB面、とりわけC(2)から最後まで、クライマックスへ向かう、めくるめくグルーヴが極め付け。

その過激さにはアヴァンギャルドな雰囲気さえ感じてしまう。

あまりにもホットな内実と対比するクールネス。

J.B.の最高傑作との評価に偽りはない。

▶Some More from this Artist

  1. “Ain’t It Funky”
  2. “It’s A New Day So Let A Man Come In”
  3. “Soul On Top”
  4. “Sho Is Funky Down Here”
  5. “Sex Machine”
  6. “Hey America”
  7. “Super Bad”
  8. “Hot Pants”
  9. “Revolution Of The Mind”
  10. “There It Is”
  11. “Soul Classics”
  12. “Get On The Good Foot”
  13. “Black Caesar (Original Soundtrack)”
  14. “Slaughter’s Big Rip-Off (Original Motion Picture Soundtrack)”
  15. “Soul Classics Vol. II”
  16. “The Payback”
  17. “Hell”
  18. “Reality”
  19. “Sex Machine Today”
  20. “Everybody’s Doin’ The Hustle & Dead On The Double Bump”
  21. “Hot”
  22. “Get Up Offa That Thing”
  23. “Bodyheat”
  24. “Mutha’s Nature”
  25. “Jam/1980’s”
  26. “Take A Look At Those Cakes”
  27. “The Original Disco Man”
  28. “In The Jungle Groove”

①④はインスト。

③はジャズ/スタンダード風凡作。

この時代のスタジオ録音では、「イッツ・ア・ニュー・デイ」「ギヴ・イット・アップ・オア・ターン・イット・ルース」等の傑作を含むハードコアな②、各パートのフリーキーなアクションに黒い熱気が滲み出る「スーパー・バッド」を始め、粘っこいヴォーカルで聴かせるブルースやバラードを含む⑦が強力だ。

70年、ジョージア州オーガスタのライヴを収めた⑤(一部はスタジオ録音)は、絶頂期のJ.B.を捉えたライヴとして、⑨と並び称されるアルバム。

斬新さでは⑨だが、こちらは、それまでの総決算とも言うべき、円熟を極めた煮えたぎるようなグルーヴがうねる。

70年代のJ.B.の新たな出発点となるのが、「ホット・パンツ」他、4曲全てファンクで貫く⑧、ブーツィのベースが乗せる「トーキン・ラウド&セイイン・ナッシング」を含む⑩、柔軟性と鋼の強さを備えたボトム、より表現力を増したJ.B.やホーン・セクションが、ここでは抗し切れぬ魅力を持つ。

また、⑪はベストLPの形だが、この時期を代表する初LP化の「ソウル・パワー」「メイク・イット・ファンキー」が必聴。

⑬⑭はブラック・シネマのサントラだが、特に⑭はJ.B.&JBズ実力発揮の好盤。

⑫⑯⑰は全て2枚組。

幅広い音楽性、アレンジの妙も楽しめるが、ポイントは、優れた持続的グルーヴに匂い立つ、ルーツを踏まえたブラックネスの誇り高き輝き。

メッセージ色を強めた⑯も印象的だが、⑰は更に素晴らしい。

しかし、74年以降は幾分精彩を欠く。

J.B.だけに水準は保つものの、⑱はアイデア不足。

⑲⑳も二番煎じでスケールの縮小は隠せず、㉑㉒㉓は、新たなバックに応じたスタイルで聴かせる悪くないアルバム。

㉔㉕㉖は、ディスコ時代におけるJ.B.流回答。

J.B.としてはパワー不足ながら、一部でハウス先取りの観も。

㉗では、ブラッド・シャピロ制作。

南部録音が新鮮な感覚をもたらす。

尚、㉘は69~71年録音のファンク傑作を集めた最高の編集盤だ。

転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則

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