LP (People PE-5601)
Producer: James Brown
60年代末から70年代初頭にかけて、「マザー・ポップコーン」「セックス・マシーン」「スーパー・バッド」等の強烈なファンクを生み出したジェイムス・ブラウン。
それを文字通り、バックで支えた連中が、ファンクの曙の勢いに乗じて、御大との活動と並行して活動(レコーディング)した70年代。その名はJBズ---単純なようでいて、大将を支えるのは俺達だ、という気概も感じられるような名ではないですか。
これはJ.B.の主宰したピープル・レーベルから72年に出された、JBズのファースト・アルバムで、70~72年のシングルを集めたもの。
JBズといっても、御大自らプロデュース、アレンジ、時には歌やオルガンまで参加する場合もあるのがJ.B.らしく面白いところではある。
この時期、メイシオやジミー・ノーランはグループを離れていたが、リーダーたるフレッド・ウェズリーを中心に、J.B.が集めた精鋭達が得意のファンク・サウンドを展開している。
ジャズ・タッチのB(1) 、映画音楽的な(?)気楽なA(4)などもあるが、71年のヒット(R&Bチャート11位)A(1)、翌年のヒットA(2)などは、ヴォーカルなしでも充分黒い、J.B.ファンク・サウンドとなっている。
これらは気持ち軽めの演奏だが、J.B.の声もたっぷり聴けるB(2)、そして録音が一番古いキングへの録音となる、ブーツィを中心としたオリジナルJBズでのA(6)、B(4)はなかなかにヘヴィ。
特にA(6)のとぐろを巻くようなビートの強烈さは、さすがブーツィである。
▶Some More from this Artist
- “Doing It To Death”
- “Damn Right I Am Somebody”
- “Breaking Bread”
- “Hustle With Speed”
- “Disco Fever”
- “Groove Machine”
JBズでは他に以上の6枚のアルバムがあるが、ピープル原盤の①~⑤は、PヴァインでCD化されている。
それぞれ、PCD1312、1313、1314、1300、1319という番号。
なお、④のCDは、オリジナルとは多少違うので注意を。
JBズでのレコーディングは、実験的というよりも、ライヴでのジャム演奏に近い、軽くリラックスした面が強く出ており、J.B.自身の緊迫感溢れる録音とは趣を異にしており、自然と評価も分れるとこだろうが、本アルバムや、ピープルでの①~④などそれぞれに聴きどころがあり、どれも捨て難い。
本作と並んで評判の高い①は、ジャズ的な要素も方々に出て、ジャム的な楽しみが多い。
②では、ブラック・パワーの勢いを感じさせるメッセージ性があるが、攻撃的な印象が残る。
③も同様のメッセージがあるが、曲間にフレッド・ウェズリーの語りがあり、よりコンセプチュアルな出来である。
この③は、ギター・リフ等のルーズさも気持ちいいが、かけ声、ラップ的なヴォーカル・パートが多く興味深い。
75年、ディスコ時代に立ち向かって作られた⑤は、アレンジ、オーケストレーションが見事だ。
この他、JBズだけでなくメイシオやスウィート・チャールズらのシングルを集めた日本編集のCD『フード・フォー・ファンク』(Pヴァイン PCD-1315) も必聴だ。
転載:U.S. Black Disk Guide©小出斉
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