CON FUNK SHUN / Spirit Of Love
LP (Mercury SRM1-3806)
Producer: Skip Scarborough
サウンド面の陣頭指揮を取っていたフェルトン・パイレットが85年のLP『エレクトリック・レディ』を最後にソロへ独立。
ヴォルトでのレコーディングを経て、現在M.C.ハマーのミュージカル・ディレクターとして繁忙をきわめる毎日で、一方、看板リード・シンガー、マイケル・クーパーも87年にリプリーズと単独契約を交わし、ジェイ・キングとのコラボレートで既に2枚の秀作アルバムをリリースしているのは周知の通り。
半ば両腕をもぎ取られたようなコン・ファンク・シャン(以下CFS)の活動は86年以降停滞を余儀なくされいる訳で、70年代に結成されたファンク・バンドの中でも特に結束が固く、体力のあるユニットだったので、このような状況には寂然たるものがある。
先の2人に加えて、カール・フューラー(tp)、ポール・ハレル(sax)、セドリック・マーティン(b/vo)、ダニー・トーマス(kbd)、ルイス・マッコール(ds)の計7人で結成されたのが72年。
スタックス/ヴォルト・レコードと契約、ツアー・バンドとして活躍した後、フレトーン・レコードに移籍してキャリアを積み、76年にマーキュリーに入社している。
ここで86年までに11枚のアルバムを発表しており、当該作は80年の通算5枚目に当たる名盤。
2枚目から続くスキップ・スカボロウとの共同制作にも脂が乗り切り、CFSならではの魅惑のグルーヴが遂にA(1)で誕生している。
深く刻まれるバス・ドラに反撥するかの如く鮮やかに響くハンド・クラップ、そして弾力性豊かなビートにまとい付く速射砲のようなホーン、そしてマイケル+ファルセット・ヴォイスのセドリックによるツイン・リードと、何とも痛快な味わいだ。
ファンクではA(3),B(1)も良く、定評のあるスローでの好演はB(4),A(2)で堪能できる。
▶Some More from this Artist
- “Con Funk Shun”
- “Secrets”
- “Loveshine”
- “Candy”
- “Touch”
- “7”
- “To The Max”
- “Fever”
- “Electric Lady”
- “Burnin’ Love”
①はメンフィス録音。
②は代表作「ファン」の他強力スロー「ティアーズ・イン・マイ・アイズ」が収められている。
④は一際パワフルな内容。「チェイス・ミー」には悶絶。
前述の『スピリット・オブ・ラヴ』で完成されたCFSグルーヴは⑤の「トゥー・タイト」、⑥の「バッド・レディ」に受け継がれる。
好盤⑦収録の「ミス・ガット・ザ・ボディ」はF.カヴォーキアン・リミックス盤にクライマックスがある。
この⑤⑥⑦はCFS自身のプロデュース。
デオダートの手掛けた⑧、モーリス・スターの起用でヒップ・ホップ色を出した⑨、ジャイルズ&オズボーンの手捌きが見事な⑩、どれも逸品。
因みに、クリークの1枚目はCFSのプロデュース、78年にマーキュリーにLPのあるファイア・ワークはマイケルが手掛けたバンドだ。
転載:U.S. Black Disk Guide©細田日出夫
コメント