LP (Spring SPR-6711)
Producer : Bill Curtis

クラウド・マクファターやビッグ・メイベルのバックを務めていたこともあるという50年代から活動を続けるヴェテラン・ドラマー、ビル・カーティスを中心とするファットバック。
都会の街角に発するハードな感覚をグリッティな粘りとタフな重量感を持つグルーヴに込める、ニューヨークで最高にナスティなファンク・バンドである。
いずれのアルバムも、パーティ・ミュージック一筋の彼らの志しがゴキゲンだが、中でも本作は、70年代中期のいわゆるディスコ・ブームにストレートに呼応したもの。
彼らのファンク・サイドをお求めの向きにはベスト作とはいい難いが、凡百の軟弱ディスコとは比較にならない黒っぽい展開は、ダンス・バンドの本文をわきまえた彼らの本質的力量を明らかにしてみせる筈。
全編、ラテン風味も加えた都会的洗練を窺わす、ミディアムからアップのディスコ・チューン。
独特のぬめりとむせかえるような暑苦しさを持ったサウンドが、アーバン・ジャングルの狂熱的高まりを演出する。
勿論、根底には彼らならではの、ストリート直送のファンクが濃厚な体臭を放っているのである。
▶Some More from this Artist
- 1. “Let’s Do It Again”
- 2. “People Music”
- 3. “Feel My Soul”
- 4. “Keep On Steppin'”
- 5. “Yum Yum”
- 6. “Raising Hell”
- 7. “Night Fever”
- 8. “NYCNYUSA (Nĭk-Nē-Yōō-Sä)”
- 9. “Man With The Band”
- 10. “Fired Up ‘N’ Kickin'”
- 11. “Brite Lites, Big City”
- 12. “Fatback XII”
初期の①②は、ジャズやポップの要素も含むファンキー・インスト中心、③は女性ヴォーカルをフィーチャーした歌物中心だが、未完成ながらも黒人クラブ叩き上げのラフな風情は心惹かれるものがある。
ようやく方向性が定まったのがイヴェント時代。
ここではR&Bの流れを汲むストレート・ファンクが圧倒的。
贅肉を落としたシンプルかつヘヴィなビートに貫かれた④は、黒さ極めるストリート・ファンク・アルバム。
続く⑤も猥雑な雰囲気。
粘っこくうねるグルーヴ、メタリックな感触がこたえられない強力盤。
「バス・ストップ」「スパニッシュ・ハッスル」を含む⑥では、ダンス・フロアー向けに幾分完成度が加わるが、迫力は決して損なわれていない。
⑦⑧は、ディスコ全盛時における彼らの正当性を証明したアルバム。
⑨~⑫は洒落たソウル・ナンバーも組み込むなどアルバムとしての構成を考慮した作りが成され、同時に泥臭いファンクネスと現代感覚が混在した彼らのスタイルもここで確立される。
いずれのアルバムも決定打に欠けるきらいもあるが、このワン・パターンの持続力も実力の証し。
どれも優れたパーティ・アルバムだ。
転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則
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